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避けては通れない! レーザー溶接における5つのよくある問題とその解決策

レーザー溶接は、精密で高品質な接合が求められる現代の製造業において、不可欠な技術。しかし、どんなに優れた技術でも、完璧ではありません。
特にレーザー溶接では、経験豊富な技術者であって問題に直面することばかりです。そこで、レーザー溶接における5つのよくある問題とその解決策をご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.レーザー溶接のメリット
  2. 2.溶接不良、亀裂の発生の原因と対策
  3. 3.ポロシティ(気孔)問題とその防止法
  4. 4.過剰溶け込みによる変形とその予防策
  5. 5.スパッタ発生の抑制方法
  6. 6.肉盛り溶接が苦手なレーザー溶接と解決策
  7. 7.まとめ

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レーザー溶接のメリット

レーザー溶接には多くのメリットがあります。まず、局所的に加熱することで無駄な熱影響を与えず、低歪で安定した溶接が可能です。従来のTIG溶接などでは熱エネルギーの制御が難しく、技術者によって品質がばらつくことがありましたが、レーザー溶接では焦点距離や出力をリアルタイムで調整できるため、安定した品質が保たれます。
また、レーザー溶接は高速加工が可能であり、生産性が非常に高いこともメリット。現代の製造現場において、レーザー溶接が重要視されていることはいうまでもないでしょう。しかし、完璧な溶接であるわけではありません。まだまだ様々な課題があります。

溶接不良、亀裂の発生の原因と対策

亀裂の発生は、レーザー溶接で一番よく起きる問題。亀裂は、材料の熱膨張と収縮、溶接時の急激な冷却によって引き起こされます。特に、異なる材質を溶接する場合や、厚さが不均一な材料を扱う場合に顕著に出てきます。
まず、溶接プロセスの前に材料の予熱を行うことが効果的。予熱により、溶接中の急激な温度変化を緩和し、応力集中を軽減することができます。また、溶接後に、ゆっくりと冷やすことも重要です。溶接部にかかる応力をさらに低減し、亀裂の発生を防いでくれます。
そのほか注意したいのが、溶接パラメータの設定。レーザーの出力、溶接速度、フォーカス位置などを最適化することで、熱影響を最小限に抑えることができます。特に、レーザー出力が高すぎると、材料が過剰に溶け込み、急激な冷却によって亀裂が発生しやすくなります。逆に、出力が低すぎると溶接が不十分になり、接合強度が低下する可能性があります。
こうした部分的な問題に加えて、材料選定も考慮すると、亀裂が起きにくくなるでしょう。

ポロシティ(気孔)問題とその防止法

レーザー溶接におけるポロシティ(気孔)は、溶接部内に微小な空洞や気泡が発生する現象のこと。
ポロシティが発生すると、溶接部の強度が低下し、腐食のリスクが増大します。対策としては、溶接環境をきれいに保つことが大事。レーザー溶接は非常に高温で行なわれるため、微小な汚れや油分が蒸発し、溶接部に気泡として残ることがあります。溶接前に、材料表面の清掃を徹底し、汚れや油分を取り除くことが必要です。また、クリーンルーム環境での溶接作業も効果的です。
次に、適切なシールドガスの使用です。シールドガスは、溶接部を外気から遮断し、酸化を防ぐ役割を果たしてくれますが、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを使用することで、溶接部の酸化を抑制。ポロシティの発生を防ぐことができます。

過剰溶け込みによる変形とその予防策

レーザー溶接において、過剰溶け込みは材料の変形や内部応力の原因となります。過剰溶け込みは、レーザーの出力が高すぎる場合や、溶接速度が遅すぎる場合に発生しやすい問題ですが、事前に防ぐことが可能。
まず、レーザー出力の適切な管理が必要です。溶接作業前にテストピースを使用し、最適な出力設定を見つけてください。また、溶接プロセス中に出力をリアルタイムで監視し、必要に応じて調整することも効果的です。
また、溶接速度の調整が求められます。溶接速度が遅いと、レーザーが材料に長時間当たり続けるため、過剰溶け込みが発生しやすくなります。適切な溶接速度を設定することで、溶接部の温度を制御し、変形を防ぐことができます。これには、材料の厚さや種類、レーザーの特性を考慮した速度設定が必要です。

スパッタ発生の抑制方法

スパッタは、レーザー溶接中に発生する溶融金属の飛散物のこと。溶接部周辺の品質や作業環境に悪影響を及ぼす要因されています。スパッタの発生を抑制するためには、レーザー出力の適切な設定が必要です。過剰溶け込みと同じく、レーザーの出力管理や溶接速度の正しい設定、シールドガスの使用なども検討してみましょう。

肉盛り溶接が苦手なレーザー溶接と解決策

レーザー溶接にはいくつかの弱点があり、その一つが肉盛り溶接への対応の難しさです。レーザー溶接は母材溶接を得意とする一方で、肉盛り溶接は得意ではありません。肉盛り溶接では、溶接棒を溶融させるために多くのエネルギーが必要ですが、レーザー溶接ではこのエネルギーが不足し、溶融した溶接棒が母材に十分に浸透しない可能性があります。溶接の強度が低下し、必要な耐久性が確保できないことがあります。
対策としては、レーザーの出力設定を調整し、溶接速度を遅くすることで、溶接棒が十分に溶融し、母材に浸透するようにします。また、複数のレーザーを使用して同時に照射することで、必要なエネルギーを確保する方法もあります。
また、肉盛り溶接では、溶接点、溶接棒、レーザーの焦点をすべて正確に同一線上に揃える必要があります。しかし、この作業は非常に難しく、少しでもズレが生じると、溶接の品質が著しく低下します。この精密な位置合わせができないと、溶接部に十分な強度を持たせることができません。
精密な位置合わせを実現するためには、自動化技術の導入が効果的です。レーザー溶接システムに高精度の位置センサーやカメラを組み込み、リアルタイムで位置をモニタリングし、必要に応じて調整を行うことで、位置ズレを最小限に抑えることができます。

まとめ

レーザー溶接における5つのよくある問題とその解決策について解説しました。亀裂、ポロシティ、過剰溶け込み、スパッタ、肉盛りといった問題は、どうしても起きてしまいます。
適切な溶接パラメータの設定や、溶接プロセスの監視、材料の選定など、現場で調整しながら、一つずつ対応していきましょう。
こうして、高品質なレーザー溶接を実現し、生産効率の向上を図ることが可能です。現場での問題解決に役立てていただければ幸いです。

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