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TIG溶接とは?初心者向け基本と上達のコツを解説

目次[非表示]

  1. 1.1.TIG溶接とは?
  2. 2.2. TIG溶接のメリットとデメリット
  3. 3.3. TIG溶接に必要な機材
  4. 4.4. TIG溶接の基本プロセス
  5. 5.5. TIG溶接のコツとテクニック
    1. 5.1.電流や溶接速度の調整
    2. 5.2.トーチの角度と構え方
    3. 5.3.タングステン電極の管理
    4. 5.4.薄板ステンレスの溶接技術
    5. 5.5.ローリング技法のコツ
    6. 5.6.継続的な練習をする
  6. 6.6. よくある失敗とその対策
  7. 7.7. 安全対策
  8. 8.8. まとめ



TIG溶接は、製造現場では欠かせない溶接技術。しかし、これからTIG溶接を学ぼうと思っている方には、「難しい溶接技術」というイメージがあるのではないでしょうか。
この記事では、TIG溶接の基礎知識から、実践的な上達のコツまでをわかりやすく解説します。溶接の仕組み、必要な機材、溶接手順、そしてよくある失敗とその対策など、幅広くカバーすることで、安心してTIG溶接を始められるようにしました。
この記事を読めば、TIG溶接の奥深さ、そしてその魅力をきっと理解できるはずです。それでは早速見ていきましょう。


1.TIG溶接とは?


TIG溶接は、タングステン電極と不活性ガスを用いて溶接を行う高度な技術です。タングステン電極から発生するアークの熱で金属を溶かし、不活性ガスが溶接部を保護することで、高品質な溶接を実現しています。
高い精度とビードの綺麗な様子から、溶接面にこだわりたい製造現場で重宝されてきました。不活性ガスはアルゴンやヘリウムが一般的で、ステンレスやアルミなど、様々な金属の溶接に幅広く利用されています。


2. TIG溶接のメリットとデメリット



TIG溶接は、その高い品質と多様な用途から多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。メリットとしては、美しいビード、高い強度、優れた耐食性などが挙げられます。
また、薄物や複雑な形状の溶接にも適しており、精密な作業に求められる技術です。一方、デメリットとしては、技術習得に時間がかかること、溶接速度が遅いこと、そして高価な機材が必要となることが挙げられます。


3. TIG溶接に必要な機材


TIG溶接を行うには、専用の機材が必要です。TIG溶接機は、直流、交流、パルスなど様々な種類があり、溶接する金属の種類や厚さによって使い分けられます。タングステン電極は、溶接の種類や条件に合わせて選び、トーチはガスを供給し、アークを発生させる装置です。溶加材は、溶接する金属と同種または類似の金属棒で、溶接部を肉盛りしたり、隙間を埋めるために使用されます。遮蔽ガスは、溶接部を大気から保護し、酸化や孔の発生を防ぐ役割を果たします。


4. TIG溶接の基本プロセス

TIG溶接は、準備、アーク開始、溶接、アーク停止の順で行われます。
まず、ワークを清掃します。
次に、ワークにトーチを近づけ、アークを発生させます。
アークの熱で金属が溶け始めたら、トーチを一定速度で移動させながら、溶加材を添加します。最後に、トーチをワークから離し、アークを無くせば完了です。


5. TIG溶接のコツとテクニック


TIG溶接をマスターするには、コツとテクニックを覚えれば、できるようになります。ここでは、初心者がTIG溶接のスキルを向上させるための方法を詳しく解説します。


電流や溶接速度の調整


TIG溶接において、電流の強さや溶接速度は、使用する金属の種類や厚さ、また求められる溶接ビードの形状によって異なります。電流が強すぎると金属が過剰に溶け、弱すぎると十分な溶着が得られません。また、溶接速度が速すぎるとビードが細くなり、遅すぎると金属が溶けすぎることがあります。初心者は、これらのパラメータを慎重に調整しながら、適切な溶接条件を見つけることが大切です。


トーチの角度と構え方


TIG溶接の成否は、トーチの持ち方や角度にも大きく影響されます。トーチを適切な角度(通常、約70〜80度)で保持することにより、溶け込み量やビードの形状をコントロールできます。さらに、溶接時の構え方も重要です。以下のポイントを押さえることで、より安定した溶接が可能になります。


・溶接部に顔を近づける: 溶接プール(溶けた金属の液体部分)をしっかりと確認するために、顔を溶接面に近づけます。真上からではなく、横から覗き込むようにすると、プールが見やすくなります。


・トーチを持つ手を固定する: 肘を作業台に置いたり、トーチを持つ手の小指をワークに添えてスライドさせたりすることで、トーチの揺れを防ぎ、安定した操作が可能です。溶接の精度が向上し、美しいビードが得られます。


・溶接前にシミュレーションする: 実際の溶接に入る前に、アークを出さない状態でトーチをスライドさせ、動作の確認を行います。トーチケーブルが何かに引っかかるなどのトラブルを未然に防ぎ、スムーズな溶接が可能になります。


・トーチケーブルを肩にかける: ケーブルの重みを感じさせず、自由に動かせるようにするために、トーチケーブルを肩にかけると良いでしょう。溶接中のストレスが軽減され、より集中して作業が行えます。


タングステン電極の管理


TIG溶接では、タングステン電極の先端を正しく管理することが重要です。初心者がよく犯すミスは、タングステン電極を溶接プールや溶加材と接触させてしまうことです。それが原因で、電極の先端が損傷し、アークの安定性が失われます。以下の点に注意して、電極を正しく管理しましょう。


・電極の先端を尖らせる: タングステン電極の先端は尖らせておくことで、アークが安定し、ピンポイントで溶接が可能になります。もし先端が変形したり丸くなったりした場合は、作業を中断し、グラインダーなどで再度尖らせましょう。


・電極と母材の距離を保つ: 電極と母材の距離が近すぎると、電極が接触して損傷する可能性があります。適切な距離を保ちながら作業を進めることが大切です。


薄板ステンレスの溶接技術


薄板ステンレスの溶接には特別な技術が必要です。以下のポイントを意識して作業してみましょう。


・溶接箇所の隙間をなくす: 溶接する母材が薄い場合、事前の面合わせ(隙間や上下のズレがない状態にすること)が重要です。隙間があると溶接中に穴が空きやすくなり、手間が増えて仕上がりが悪くなります。


・タングステン電極は細めを使用する: 薄板溶接には、直径の小さいタングステン電極を使用するのが一般的です。これにより、適正な電流範囲内で作業が可能となり、母材への過度な入熱を避けることができます。


・パルス制御を利用する: 薄板溶接では、パルス制御を活用して、溶接中の入熱量を抑えます。高電流と低電流を交互に使用することで、母材が溶けすぎるのを防ぎ、安定した溶接が可能です。


ローリング技法のコツ


パイプや配管の溶接には、ローリングという技法が使われます。この技法は手首をくねくね動かす独特の動きが特徴です。ただ、ビードの幅に合わせてラインを引く、溶接個所をV字にカットするなどの準備が必要。また、溶接面の遮光度を下げて視認性を高めることも効果的です。


継続的な練習をする


最後に、TIG溶接の状態のためには、継続的な練習が不可欠です。YouTubeなどの動画で様々な溶接方法を学び、自分の技術を磨いていきましょう。


6. よくある失敗とその対策


TIG溶接では、様々なトラブルが発生することがあります。アークが安定しない場合は、電流やガス流量を調整します。


溶け込みが浅い場合は電流を上げ、深すぎる場合は下げるなど、適切な調整が必要です。ビードが不均一な場合は、トーチの角度や移動速度を調整します。


孔が開いてしまう場合は、溶接速度を遅くしたり、溶加材を適切に供給したりすることで改善が可能です。


7. 安全対策


TIG溶接は、高温のアークが発生するため、安全対策を徹底することがマスト条件。電気ショック、火傷、紫外線による眼の障害など、様々な危険が伴います。そのため、絶縁手袋、保護服、遮光メガネなどの保護具を着用し、換気にも注意を払いながら作業を行いましょう。


8. まとめ


TIG溶接は、美しいビードと精度の高さが特徴の溶接技術です。しかし、習得には時間がかかり、安全に作業を行うための知識も必要です。この記事を参考に、安全にTIG溶接を始めてみてください。

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